法人の申告書と「適用額明細書」 その2

22年度税制改正で創設された「適用額明細書」のことを
23年4月28日に書きましたが、今日ぱぱみっつーさんから
コメントをいただきました。

国税庁が公表している「適用額明細書の記載の手引」に載っていない
租税特別措置法関係のものはどうしたらいいのか。

例えば、「倒産防止掛金の損金算入」や「中小企業の貸倒引当金
法定繰入率」について、適用額明細書は必要ないのか?


事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ、
という事で、まず現場である根拠条文に戻ってみました。

      ↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H22/H22HO008.html

(適用額明細書の提出義務)
第三条  法人税申告書を提出する法人で、当該法人税申告書に係る事業年度又は連結事業年度において法人税関係特別措置(税額又は所得の金額を減少させる規定その他の政令で定める規定によるものに限る。以下第五条までにおいて同じ。)の適用を受けようとするものは、当該法人税関係特別措置につき記載した適用額明細書を当該法人税申告書に添付しなければならない。

政令で定める規定によるものに限る???


という事で「租税特別措置法の適用状況の透明化等に関する法律施行令」を
見てみると、
第一条で「含まれない規定」が列挙されていて、
第二条で「適用額明細書の提出義務の対象となる法人税関係特別措置」として第1項から第19項まで限定列挙されています。
       ↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H22/H22SE067.html


もう一度ぱぱみっつーさんの質問を検討してみました。

(1)倒産防止掛金の損金算入
   これは租税特別措置法第66条の11に「特定の基金に対する負担金等
   の損金算入の特例」として規定されています。
   これは透明化法施行令第2条第11項に載っています。

   国税庁の「適用明細書の記載の手引」を見てみると別表十(七)の
   31欄に記載がある場合は「適用明細書」の提出が必要です

         ↓ 
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/tekiyougaku/pdf/40.pdf


(2)中小企業の貸倒引当金の法定繰入率」については租税特別措置法
  第57条の10第1項に規定されています。ここで要注意!
  適用額明細書が必要なのは第57条の10第3項の規定です。

  透明化法施行令第2条第3項の終わりのほうに書かれています。
  
  国税庁の「適用額明細書の記載の手引」を見ると第7欄に記載がある場合、
  つまり、公益法人等又は協同組合等が対象です。
        ↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/tekiyougaku/pdf/43.pdf


最後にもう一度、国税庁の「適用額明細書の記載の手引」を確認。
       ↓
国税庁ホームページリニューアルのお知らせ|国税庁


久しぶりに、税法はミステリーより面白い、を実感しました。