青色事業専従者とパート勤務

この時期になると、確定申告に関する質問をよく受けます。

きょうも青色申告をしている知り合いの方から次のような質問を受けました。

「パート勤めの妻を青色事業専従者に出来るか税務署に相談に行ったら
可能だと言われたので、21年度から青色事業専従者給与を出そうと
思うのですが、どうでしょうか?」


可能と言う表現はあいまいで、不安だったのでしょうね。


まず条文をじっくり読むと問題点が見えてきます。


青色事業専従者給与については、所得税法第57条第1項に規定されています。


・・・その労務の対価として相当であると認められるものは必要経費に算入し、
かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。


また、青色事業専従者給与の判定基準等については所得税法施行令
第165条に規定されています。

第1項第1号  労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度
   第2号  他の使用人が支払を受ける給与の状況及びその事業と
        同種の事業でその規模が類似するものに従事するものが
        支払を受ける給与の状況
   第3号  その事業の種類及び規模並びにその収益の状況


所得税法施行令第165条では事業に専ら従事するかどうかの判定について
規定されています。

(1)年間を通じて6月をこえてその事業に従事していること。
(2)学生、生徒は夜間に授業をうけ、昼間事業に従事する場合は認められる。
(3)他に職業を有するものは、その職業に従事する時間が短いものが認められる。


この(3)の部分だけ読むとパート勤めでも事業専従者になれるのではと、
思いがちですが、条文はすべてあいまいな表現で、税務署の好きな言葉
「事実認定」というハードルがあります。


青色事業専従者給与については争いが多いようで、国税不服審判所の裁決事例も
たくさんあります。
     ↓
青色事業専従者給与 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所


特に一番新しい19年1月18日の裁決事例に、税務署と請求人の見解の相違が
一覧表になったものが公表されています。
双方の主張を読むことによって、注意すべき点が見えてきます。
     ↓
http://www.kfs.go.jp/service/JP/73/10/besshi02_1.htm


ちなみに青色事業専従者について所得税法第57条で「専らその居住者の
事業に従事するもの」と表現されていますが、「専ら」を大辞林
調べてみると、

 (1)他の事にかかわらないで、そのことだけをするさま。
 (2)そのことに集中するさま。それを主とするさま。