「みなし贈与」と「みなし譲渡」
友人から、「子供に不動産を売りたいけれど、幾らで売ったら
いい?」と相談を受けました。
問題になるのが、相続税法第7条の「贈与又は遺贈により取得した
ものとみなす場合」です。
第7条
著しく低い価額の対価て財産の譲渡を受けた場合においては
当該財産の譲渡があつた時において、当該財産の譲渡を受けた者が、
当該対価と当該譲渡があつた時における当該財産の時価(・・・省略)
との差額に相当する金額を当該財産を譲渡した者から贈与(当該財産の
譲渡が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
・・・以下省略。
タックスアンサーではもう少し分かりやすく説明されています。
↓
国税庁ホームページリニューアルのお知らせ|国税庁
個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、
その財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額は、
財産を譲渡した人から贈与により取得したものとみなされます。
・・・・・以下省略。
その財産の時価が幾らか?でいつも悩みます。
(1)国土交通省が実施している「土地総合情報システム」で検索しても
売買実績がない場合は時価の参考に出来ません。
(2)固定資産税評価額は問題外です。
(3)近隣の地価公示価格を参考に計算する方法もあります。
(4)相続税評価額で評価する。
この方法は、以前国税不服審判所の裁決で納税者が負けています。
(平成18年5月24日裁決、裁決事例集No71)
ところが、その納税者が裁判に訴え、東京地方裁判所は相続税評価額による
親族への土地譲渡を認める判決を言い渡しました。
(東京地方裁判所 平成19年8月23日判決 平成18年(行ウ)第562号)
残念ながら最高裁判所の判例検索システムでは見つけることが出来ず、
税務通信の記事だけなので、断定は出来ませんが、国は控訴しなかった
ので、相続税評価額で評価することも選択肢の一つになるのではと
思います。
ところで、「みなし贈与」は相続税法に規定されていて、財産を譲り受けた人に
贈与税が課税されますが、似た言葉で、「みなし譲渡」があります。
「みなし譲渡」は所得税法第59条の規定で、個人が法人に無償又は著しく低い
価額の対価(時価の2分の1未満)で譲渡した場合等に、譲渡した人に所得税が
課税されます。
この場合も時価がキーワードです。「みなし譲渡」についてはもう少し
調べて、次の機会に書きたいと思います。