農地転用許可と財産評価

コメント欄でベリーさんから農地に関する質問があったので、
今日のブログはその返事です。
コメントの内容は下記の通りです。


おはようございます。
突然、コメント欄で質問することをお許しいただきますよう
お願いいたします。

実は、親名義の農地を譲り受け、家を建てようと計画
しております。
そこで、使用貸借でいくか所有権移転で行くかを悩んでおります。
今、農地であるので、農地法第5条の許可を受けるのですが、許可を受け、
所有権移転登記をした時点は、地目が農地であり、評価額も100円/?程度です。
建築が終わり、宅地への地目変更をするのが、来年の5月頃になります。
この場合、贈与税の算定の基礎は、農地の評価額に贈与税の倍率を乗じたもので
計算されるのか、若しくは宅地並みで計算されるのか教えていただきたいのですが。

ちなみに、調整区域です。

よろしくお願いします。


結論から言うと、
(1)贈与の時期は転用許可があった日。
(2)農地の評価は市街地農地として、宅地並課税です。
(3)使用貸借か所有権移転かについては、詳しい状況が
   わからないので、コメントが出来ません。ごめんなさい。



まず、相続税法の第22条に評価の原則が規定されています。

(評価の原則)第22条 
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により
取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、
当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。


では、いつが取得の時か?


相続税法基本通達には次のように書かれています。(読みやすくするために
括弧書きは省略しています。)


(農地等の贈与による財産取得の時期)
1の3・1の4共−10 
農地法第3条第1項若しくは第5条第1項本文の規定による許可を受けなければ
ならない農地若しくは採草放牧地の贈与又は同項第3号の規定による届出を
してする農地等の贈与に係る取得の時期は、当該許可があった日又は当該届出の
効力が生じた日後に贈与があったと認められる場合を除き、1の3・1の4共−8及び
1の3・1の4共−9にかかわらず、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日によるものとする。


次に農地の評価はどうなるのか?


相続税財産評価通達には次のように規定されています。


(市街地農地の範囲)
36−4 
市街地農地とは、次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいう。

(1) 農地法第4条≪農地の転用の制限≫又は第5条 ≪農地又は採草放牧地の
   転用のための権利移動の制限≫に規定する許可(以下「転用許可」という。)
   を受けた農地

(2) 市街化区域内にある農地

(3) 農地法の規定により、転用許可を要しない農地として、都道府県知事の
   指定を受けたもの


転用許可を受けた農地は市街地農地と書かれています。
純農地や中間農地のような固定資産税評価額に倍率を掛けるのではなく
宅地比準方式により評価します。