白色事業専従者のみなし給与

新しくお客様になった方からメールを頂きました。

白色の事業専従者の給与を毎月8万円払っているけれど、
白色専従者控除は86万円と聞いているので、オーバーして
しまうけれど、どうしたらいいかという質問です。


所得税法では、原則親族に支払った対価は必要経費にならないと
規定されています。(所得税法第56条)


ただし、例外として所得税法第57条で二つの特例が認められています。
(1)青色事業専従者給与の必要経費算入
(2)白色事業専従者控除


二つの特例は似ているようで、実は全く異なっているので注意が
必要です。


(1)青色事業専従者給与
  1.前もって税務署長あてに事業専従者名と給与額等を届け出ること。
  2.条文に「・・・給与の支払を受けた場合には・・・」とあります。
   つまり、実際に給与を支払わなければ、必要経費には算入できません。

(2)白色事業専従者控除
  1.条文に「・・・次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費
   とみなす。」とあります。つまり、実際に給与を支払ったかどうか
   は問題ではないということです。

  2.必要経費とみなされる金額はイとロのいずれか低い金額です。
   イ 配偶者の場合 86万円
     (配偶者以外の生計を一にする親族の場合  50万円)

   ロ 事業者本人の所得(専従者給与を控除する前)の金額を
     専従者の数に一を加えた数で割った金額
   


   例えば、白色専従者が妻と息子の計2人、事業者の所得が240万円
   とすると、
   配偶者の場合  240万円÷3人=80万円<86万円
           ∴ 80万円しか控除できません。
   息子の場合   240万円÷3人=80万円>50万円
           ∴ 50万円
  
   
   事業者の所得が270万円とすると
   配偶者の場合  270万円÷3人=90万円>86万円
           ∴ 86万円となります
   息子の場合   270万円÷3人=90万円>50万円  
           ∴ 50万円



質問の答えは、
「今までどおり8万円づつ支払って下さい。ただし、
控除額は最高86万円です。
来年は、青色申告の届出を忘れないように出しましょうね。」



所得税法第57条をじっくり読むと、かなり色々なことが分かって
おもしろいですね。