一括借上げと消費税
最近お客様の相談事例で、不動産の「一括借上げ」が2件続けてありました。
アパートのようにすべて住宅用だと消費税は非課税で問題は無いのですが、
いま、調べているのは「民間の老人ホームの建貸し」における消費税です。
自分のメモ用としてこのブログにアットランダムに書いてみました。
1.非課税について
(1)消費税法第6条第1項
国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表1に掲げるものには
消費税を課さない。
(2)消費税法別表1
老人ホームは別表1の七に規定されている介護保険法や社会福祉法等の
対象にはならないので、住宅の貸付として課税か非課税か検討。
十三 住宅(人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に
供する部分をいう。)の貸付け(当該貸付けに係る契約において人の
居住の用に供することが明らかにされているものに限るものとし、一時的に
使用させる場合その他の政令で定める場合を除く。)
(3)消費税法施行令第16条
1ヶ月に満たない場合と旅館業法に規定する施設の貸付に該当する場合を
除くと書かれています。
(3)旅館業法第2条
この法律で「旅館業」とは、ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業及び下宿営業をいう。
老人ホームは旅館業に列挙されていない
↓
居住用住宅の非課税から除かれる旅館等には該当しない
↓
ということは非課税?
2.住宅の貸付と役務の提供が混合した場合
消費税法通達6-13-6
一の契約で非課税となる住宅の貸付と課税となる役務の提要を約して
いる場合には、この契約に係る対価の額を住宅の貸付に係る対価の額と
役務の提供に係る対価の額に合理的に区分するものとする。
(注)この契約に該当するものとして、例えば、有料老人ホーム、
ケア付住宅、食事付の貸間、食事付の寄宿舎等がある。
下宿営業は全部課税で、食事付の寄宿舎は一部課税?????
老人ホームの料金表をいくつか調べてみると、家賃部分は非課税、食事代その他は
消費税を含む、と書かれています。
↓
通達の(注)から老人ホームは住宅の貸付部分のみ非課税、他は課税?
3.転貸する場合
消費税法通達6-13-7
住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合で
あっても、当該賃貸借に係る契約において、賃借人が住宅として転貸する
ことが契約書その他において明らかな場合には、当該住宅用の建物の
貸付は、住宅の貸付に含まれるのであるから留意する。
住宅として転貸することが契約書その他において明らかでない場合
↓
非課税の住宅と課税の役務の提供がある場合はどうするのか
↓
通達6-13-6で住宅の貸付の対価の額と役務の提供の対価の額を合理的に
按分すると書かれているけれど、転貸先のことなので、合理的に按分する
のは難しいのでは。
4.熊王征秀先生の「消費税トラブルバスター」
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 経営 > 経営戦略・管理
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- 価格: 2,571円
本の22ページから25ページに
「老人ホームの賃貸は、非課税になるの?」
というタイトルでおばさん税理士が疑問に思ったことの内容が
ズバリわかりやすく書かれています。
裁決事例では、非課税と認定!
・・・平成18年6月1日付で「老人ホームの一括賃貸はすべて非課税になる。」
との裁決事例がある・・・・
さっそく国税不服審判所のサイトで検索しましたが、残念ながら
非公開の裁決事例のようです。
とりあえず老人ホームの一括賃貸は非課税ということでお客様には説明する
予定ですが、謎解きが途中のままで、何となくすっきりしない事例です。