遺産が未分割の場合

最近立て続けに「相続財産が未分割の場合」の質問を受けました。


相続税法では申告期限までに遺産が未分割の場合適用できない
規定がいくつかあります。

(1)配偶者の税額軽減

(2)小規模宅地の評価減

(3)特定事業用資産の評価減

(4)物納

(5)農地等の納税猶予


このうち(1)から(3)の規定は申告書の提出と同時に「相続税
申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出書」を提出
することにより、適用が可能です。


http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/pdf/2327.pdf


この届出書は申告書と同時なので忘れることは無いと思います。


また、やむを得ない理由(裁判や調停等)で3年経過後に遺産が
分割された場合でも「遺産が未分割であることについてやむを得ない
事由がある旨の承認申請書」を提出して税務署長の承認を得ることにより
(1)から(3)の適用が有ります。

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/pdf/1585-01.pdf



ただし、この承認申請書の提出期限が「配偶者の税額軽減」の場合
相続税法施行令第4条の2第2項に次のように書かれています。


・・・税務署長の承認を受けようとする者は、当該相続又は遺贈に係る
申告期限後三年を経過する日の翌日から二月を経過する日までに、・・・

要するに、裁判中だとか調停中で申告期限から3年経過した場合は、
未分割のままでもとりあえず2か月以内に「遺産が未分割であることに
ついてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出しておかないと、
その後、判決等で分割が確定し4ヶ月以内に申告書を提出しても、特例が
受けられないことになります。


3年後というと、スケジュール管理をきちんとしておかないと、
2か月の提出期間を失念すると大変です。


未分割の場合、常にお客様とコンタクトをとって状況を確認する
ことが大切ですね。