大工さん等の報酬は給与所得?それとも事業所得?

国税庁が「大工、左官、とび等に対する所得税の取扱について」の
意見を募集中です。
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パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ


以前から、大工さん等に対する支払が、給与か外注費かで
よく問題になっていました。


消費税法が施行されてからは、外注費であれば課税仕入ができ、
給与であれば課税仕入が出来ないと言うことで、一層慎重に
判断しなければいけなくなりました。

ところが、その基準が曖昧で、判断に迷います。


所得税法の個別通達は一番古いものが昭和28年8月17日付けのものです。
このときは、店舗を有しているか、また使用人を有しているかなどが
判断基準でした。
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次の個別通達は昭和29年5月18日付けで、たとえ店舗を有していても
実態が給与所得であることが明らかなものについては、給与所得と
なると書かれています。
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次は昭和30年2月22日の通達で、報酬の一部を給与収入として、
残りを事業収入としていいですよ、と言うものです。
これは昭和56年12月5日付けで年収額、割合の見直しがされています。
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昭和31年3月12日付けの通達では、「大工、左官、とび等」の意義について、
また、「店舗、作業場等」の意義について書かれています。
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すべて昭和時代のものです。明治時代でないだけまだましかもしれませんが。



ところで、パブリックコメントの添付資料に新しい通達案が載っています。

請負契約の場合は事業所得、雇用契約の場合は給与所得、区分が明らかで
ないときは、次の事項を総合勘案して判断すると書かれています。
これでもまだ判断に迷うことが多そうです。

(1)他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが
   認められるかどうか。
(2)報酬の支払者から作業時間を指定されるなど時間的な拘束
   (業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。
(3)作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督
   (業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く。)を受けるかどうか。
(4)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした
   場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した
   役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。
(5)材料又は用具等(釘材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の
   用具等を除く。)を報酬の支払者から供与されているかどうか。