経営承継円滑法について

コメント欄で「たか」さんから、相続税の納税猶予について
相続後も延々と届出書を提出しなければならないので、大変だという
ご意見をいただきました。


たしかに、専門雑誌その他で問題点が指摘されています。

1. 相続税贈与税の納税猶予について 
 (1)経済産業大臣(提出先は各地の経済産業局)の確認、認定が必要。
 (2)条件が複雑で、適用要件から外れたときの、利子税等の負担が大きい。
 (3)5年間は、毎年経済産業大臣への報告と税務署長への継続届出書の提出。
 (4)5年経過後は、3年毎に税務署長へ継続届出書の提出。
 (5)株式の3分の2が対象で、その80%の納税猶予、ということで
   思ったほど、メリットがない。


2. 遺留分に関する民法の特例について  
 (1)株価の固定合意をした場合、将来株価が下がった場合は
  かえって遺留分算定の基礎財産が増加し、承継相続人に
  不利になる。

 (2)固定合意する株価は公認会計士、税理士等の専門家が
  「その時における相当な価額として証明したものに限る」と
  規定されていますが、評価してもらうのに費用がかかる。

 (3)また、評価のガイドラインが曖昧で、税理士としては
   できれば避けたほうがいいという意見が多いようです。

  確かに中小企業庁が2月に公表した「経営承継法における
  非上場株式等評価ガイドライン」を読むと、できれば評価は
  遠慮したいと思います。
       ↓
  http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2009/download/090209HyoukaGuidelines.pdf

  
3. 金融支援

  これに関しては、昨日のセミナーで日本政策金融公庫の課長さんの
  説明では、今まで貸せなかったケースでも、経営承継円滑化法により
  かなり柔軟に対応出来るようになったそうです。

  これは使えるかもしれません。適用要件をよく研究しておこうと思います。
  
  

相続対策は法律より、まず親族がよく話し合うことが大切です。
そして、認定取消、納税猶予打切り等のリスクのある対策は避けた
方がいいと思います。

昨日の講師の弁護士さんは、贈与は避けて売買を薦めているそうです。
そうすれば、3年以内の贈与加算や、遺留分の計算への持ち戻し等の
心配が無くなるので。


いずれにしても、まだ新しい法律なので、もっと研究しないといけませんね。