最高裁判決 宗教法人と収益事業

昨日、最高裁で宗教法人が行うペットの葬祭等は収益事業として
上告人(宗教法人)の上告を棄却する判決が下されました。
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全文は4ページと短く、わかりやすく書かれています。


我が家にも16歳と6ヶ月の老犬がいるので、興味があって少し調べて
みました。


平成15年10月28日付けで名古屋国税不服審判所でペットの葬祭等は
収益事業とする納税者(宗教法人)の主張が退けられています。


裁決集には未搭載ということで、裁決要旨のみが公表されています。

支部名 名古屋 裁決番号 平150024
裁決年月日 平151028 裁決結果 一部取消し
争点番号 300101010 争点 1納税義務者/1内国法人/1公益法人
事例集登載頁 裁決事例集には登載しておりません
裁決要旨
○ 請求人は、宗教法人として、ペットの葬儀等を行っている
のであるから、ペットの葬儀等に関する一切の事業は、請求人の
本来の目的たる宗教行為に係る事業であり、収益事業に該当しない旨
主張する。しかしながら、法人税法上は、宗教法人が営む事業が
収益事業に該当し、継続して事業所を設けて営まれている場合には、
当該事業が宗教法人の本来の目的事業であるか、付随事業としての
営利目的で行われている事業であるかにかかわりなく、当該事業の
所得については法人税が課税される旨規定しているところ、請求人の
営むペットの葬儀等の事業は、収益事業に係る収入と認められること
から、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(平15.10.28名裁(法)平15-24)

国税不服審判所の裁決に不服の宗教法人は裁判に訴えましたが
最終的に棄却の判決です。


平成17年3月24日名古屋地方裁判所 判決 平成17年(行ウ)第4号

平成18年3月7日名古屋高等裁判所 判決 平成17年(行コ)第31号

平成20年9月12日最高裁判所 判決 平成18年(行ヒ)第177号


平成15年10月の審判所の裁決の前には、まず税務調査があって、
次に「異議申立」をして、なお、不服があるときは国税不服審判所に
「審査請求書」を提出します。それから最高裁の判決まで、かなりの時間と
費用がかかっています。裁判って本当に大変ですね。


また、今年の12月1日から新たな公益法人制度がスタートしますが、
「収益事業」と「収益事業以外の事業」の判断がますます重要に
なりそうです。