個人事業の法人成
個人事業のお客様から法人化の相談を受けたのでメリットと
デメリットをまとめて、昨日説明に行って来ました。
メリットは一般的に
(1)節税
(2)社会的信用
(3)一部生命保険料が法人の損金になる
(4)相続対策になる
(5)消費税が2年間免税となる
小企業では、正直あまりメリットが思いつきません。
デメリットの1番は、社会保険・労働保険の加入です。
法人は1人でも強制加入なので、保険料をシミュレーション
してみると、かなりの金額になりました。
事務負担も考慮しなければなりません。
また、従業員の一部では手取り金額も減るので、嫌だと
いう人も出てきそうです。
利益が出ている時はいいのですが、赤字になった時は
社会保険料は負担になります。
デメリットの2番目は役員報酬の問題です。
法人化を考えているくらいですから、利益がたくさん出ています。
役員報酬を多く支給するということで、税額等の試算をしました。
(1)ただ、注意点として、役員報酬は事業年度が開始したときに
(正確には株主総会のときに)、前もって決めなくてはならない
ことです。
(2)また、一度決めた役員報酬は、定期定額でなければならないので、
以前のように、多めに支給しておいて、業績が悪くなれば減額する
ということが出来なくなりました。(法人税法第34条第1項1号)
(3)次に大きな問題が、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」
です。(法人税法第35条)
100%株式を保有し、役員も他人を入れたくない場合は、
役員報酬の給与所得控除額が損金にならないことを説明しました。
誰がそんな中小企業をいじめるような法律改正を行ったのか、
なぜ税理士は反対しなかったのか、としかられました。
「もちろん税理士会としては反対をしたし、こんな法律を国会で
通したのは私たち国民が選んだ国会議員です。社長はちゃんと
選挙に行っていますか」と反論したら、社長いわく「今までは
あまり行っていないので、文句がいえないな。これからはちゃんと
選んで投票に行かなければ。」
デメリットの3番目は、コストが増加することです。
設立費用、社会保険料、そして、税理士の顧問料も大幅にアップ
することをお話しました。
法人化は十分検討してからにしたほうがいいですね。