離婚に伴う財産分与の税務

今日は台風の接近する中、少人数の勉強会で
街に出かけました。

その時のレジュメの一部をご紹介します。



   〈離婚に伴う財産分与の税務)

1. 財産を貰った人
 
(1)贈与税
    通常は課税されない
    ただし、次の場合は贈与税が課税される
      ・ すべての事情を考慮して分与財産が多すぎる場合
      ・ 離婚が課税逃れの為と認められる場合

(2)登録免許税(法務局管轄)
    登記の場合の税金

    固定資産税評価額に財産分与の場合2%の税率を掛けた金額

(3)不動産取得税(県税事務所管轄)

    土地 固定資産税評価額×3%
       ただし、住宅用土地については軽減措置あり

    建物 固定資産税評価額×3%
       住宅については住宅の価額から一定の控除ができる

2.財産をあげた人

(1)土地建物の譲渡所得
    財産分与の時の時価で譲渡したものとする
    時価→通常の取引価額
        ・売買実績
        ・不動産鑑定士の評価額
        ・公示地価
 
        *固定資産税評価額は不可

    *居住用の場合3,000万円の特別控除あり
     ただし、所得税の確定申告が必要

(2)土地建物以外の譲渡所得

    ・同族会社株式(取引相場の無い場合)
       財産評価通達に基づいて株の評価をする
       
    ・取引相場のある株式
       財産分与時の価格

    ・書画骨董、宝石等
       財産分与時の時価





以上、簡単にまとめています。

離婚で財産分与を受けた場合贈与税はかからないことは
皆さんよくご存知ですが、登録免許税や不動産取得税が
課税されるので心の準備とお金の準備が必要です。


また、財産をあげた人に税金がかかるというのは納得できないと
思いますが、昭和50年5月27日の最高裁判決では「財産分与義務者は
財産を分与することで財産分与義務が消滅する。この分与義務の
消滅は経済的利益を享受したものというべきである。」として、
この経済的利益が譲渡所得とされるそうです。

法律の解釈って本当に難しいですね。

また、土地建物だけでなく、同族会社の株式を相手に渡した場合も
株式の譲渡となり、しかも、譲渡直前の株主構成で判断しなければ
ならないので、原則的な評価方法(類似業種比準価格方式と純資産
価額方式)で評価するので、利益の蓄積されている会社では、かなりの
譲渡益がでる可能性があります。


書画骨董や宝石も時価で譲渡したものとされるので、譲渡益がでる
場合は、譲渡所得の申告が必要です。

財産をあげてしかも税金がかかるケースも有るので、財産分与は
慎重に。