会社が家賃を負担した場合
経理の担当者から、新しく採用した人の家賃を会社が
全額負担するので、勘定科目は「地代家賃」でいいですか、
と質問を受けました。
(1)家賃を会社が全額負担すると、従業員には「経済的利益」が
発生して、全額給与となり源泉徴収の対象となります。
つまり、給与が20万円として、家賃が10万円だとすれば
合計30万円の給与に対する源泉所得税額を給与から差し引く
ことになります。
(2)家賃の50%以上を従業員が負担していれば、残り50%未満
の部分は地代家賃となり源泉徴収の対象とはなりません。
家賃10万円のうち51,000円を従業員が負担し、会社が残りの
49,000円を負担した場合、その49,000円は従業員の給与には
なりません。
以上のことから従業員の家賃を全額負担してあげる場合は、
給与課税になることを本人に知らせておかないと、後で
トラブルになる可能性があるので、注意しましょう。
*家賃の50%と書きましたが、厳密には所得税法基本通達の
36-40、36-42にその建物の固定資産税の課税標準等を
もとに計算した基準家賃の50%を使用するのが正しいのですが、
実際の家賃はその基準家賃より高いので、実際の家賃の50%で
計算して、問題はありません。
賃貸物件の固定資産税の課税標準を大家さんが教えてくれる場合は、
通達の基準家賃を計算した方が、従業員には有利だと思います。
*通達の基準家賃は次の3つを合計した金額となります
1.その年度の建物の固定資産税の課税標準額に0.2%を掛けた金額
2.その建物の総床面積に3.3平方メートル当たり12円を掛けた金額
3.その年度の敷地の固定資産税の課税標準額に0.22%を掛けた金額
*役員に対する広さ240平方メートル以上の豪華社宅や、プール付の
社宅等に関しては別の方法(所得税法施行令第84条の2)で
経済的利益の額を計算します。