贈与の事実

先週税理士会支部の研修に行ってきました。
講師は、東京税理士会所属の木村金蔵先生でテーマは
相続税の業務受託から申告までの手順」でした。

そのときに、相続税の税務調査で一番問題になるのは
やはり本人名義、家族名義の預貯金だ言われました。


また、名義預金は贈与ではないので何年前でも時効は成立せず、
相続財産になりますと言われました。


数日後、同じ研修を受けた税理士さんから電話で、「名義預金ではなく、
相続人が贈与でもらったと言っている相続人名義の預金は、時効が
成立するの?」と言う質問を受けました。

贈与税の時効は5年、悪質な場合は7年ですが、10年以上前に贈与を受け、
贈与税の申告はしていないということです。



贈与については民法第二章「契約」のところに次のように書かれています。

(贈与)
第549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に
    与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、
    その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の撤回)
第550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。
    ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。


要するに、「あげますよ。」「はい、貰いました。」で贈与契約は
成立するのです。

ただし、税務上は贈与の事実が実際にあったかどうかが問題になります。

よく贈与契約書があれば大丈夫と言う方もいますが、そんなに甘くは無いようです。

特に親族間の贈与は相続対策に利用されやすいので、少なくとも贈与税
申告は最低限しておかないと、厳しい税務調査に反論できないと思います。


電話の質問のケースの場合、「10年前の贈与の事実」をどう証明するのか、
税務署職員を納得させるのは大変だと思います。