家元の死と相続人の不存在

ヤフーニュースで日本舞踊の家元の相続問題が報じられています。


子どもや兄弟のいない家元が急死して、遺言書も残っていない為、
東京家庭裁判所は弁護士を相続財産管理人に選任し、財産を譲り受ける
資格がある人がいるかを、探すことになったそうです。


民法では第6章(第951条から第959条まで)で「相続人の不存在」に
ついて書かれています。


相続人がいるかどうか明らかでない時は、家庭裁判所が相続財産の
管理人を選任して、そのことを公告します。


相続人が名乗り出なかった場合、つまり相続人がいなかった場合は、
家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養
看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって
相続財産の全部又は一部を与えることができます。


ヤフーニュースの記事によると、特別縁故者が申し立てを行って、認められれば
財産の分与を受けることができますが、数十億円に上る巨額の財産がすべて
特別縁故者に贈与される例はほとんどないそうです。

そうすると、民法第959条により、大部分の財産は国庫に帰属する、つまり国の
物になってしまいます。


一番のおどろきは、それだけの財産が個人名義で、しかも相続人がいないのに、
遺言書もなく後継者もはっきりさせていなかったことです。

急死、とありますが、人間いつ何があるかわかりません。

後のことを早めに手当しておくことがいかに大切か
相続の相談を受けるたびに痛感します。


特に子供がいないご夫婦は、お互いに遺言書を書いておくことをぜひぜひ
おススメします。