税金が払えない時

知り合いの税理士さんから税金を滞納している顧問先に
関する相談を受けました。

最近は、税務署や市町村の課税部署は、督促状を出してから
滞納している税金の納付がないと、速やかに差し押さえをするようです。

相談者も売掛金を差し押さえると通知がきて慌てているそうです。


まずは税務署の徴収部門に出かけていって、納税を待ってもらうしかありません。
行く前に国税通則法国税徴収法に目を通しておくといいですね。


国税通則法第46条は3つの猶予について規定しています。

(1)税務署長は災害で被害を受けた場合は納税の猶予をすることが出来ます。
(2)税務署長は納税者又は生計を一にする親族が病気やけがをした場合や、
   事業につき著しい損失を受けたなど、一定の場合納税を猶予することが
   できます。
(3)税務署長は国税を一時に納付することが出来ない理由があると認められる
   場合には納税を猶予することが出来ます。

税務署長は納税の猶予をする場合には担保を取らなければなりませんが、
担保を取ることができない特別の事情がある場合は、担保を取らなくても
いいのです。

46条の主語は全部「税務署長は」で始まります。つまり、税務署長の裁量、
判断で税金の納付が待ってもらえるのです。


次に国税徴収法ですが、
第151条(換価の猶予の要件等)
税務署長は、財産の換価を直ちにすることによりその納税者の事業の継続又はその
生活の維持を困難にするおそれがあること等、一定の場合に、納税者が納税について
誠実な意思を有すると認められるときは財産の換価を猶予することが出来る、とあります。


第153条(滞納処分の停止の要件等)
税務署長は滞納処分を失効することによって滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれが
あるときは、滞納処分の執行を停止することが出来る、とあります。


ここでも、税務署長の裁量で差し押さえ等を待ってもらえるのです。


ベンツに乗って税金を滞納していては、差し押さえも仕方がありませんが、
本当に事業がうまくいかなくなったり、病気になったりした時は、税務署に
行って、誠意ある態度で臨めば、税金を待ってもらえる可能性があります。

けっして、税務署職員とけんかをせず、納付の約束をした場合は約束を破らない
ことです。そうしないと、「誠実な意思を有する」とは認めてもらえないかも
しれませんので、くれぐれも注意してください。


(注意)上記の条文は要約しているので、原文をぜひ確認してください。