賃貸アパートと自動販売機

国税不服審判所のサイトで、裁決事例集76が新しく
公表されています。

数日前、ざっと目を通していました。
消費税の還付を受けるために自販機を設置したけれど、課税売上げが
無いとして、更正処分を受けた事例がありました。
     ↓
(平20.7.4、裁決事例集No.76 465頁) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所


隠れ会計士さんの昨日のコメントがあまりにタイムリーなので、
もう一度「裁決事例集76」を読み直してみました。


賃貸アパートの家賃収入は非課税なので、建物の建築費用に含まれる
消費税は通常還付を受けることが出来ません。


ところが、自動販売機等「課税売上げ」があれば、建築費に係る消費税を
仕入税額控除出来る、つまり還付が受けられると言うスキームがあります。

色々議論はありますが、少なくとも消費税法に違反しているわけではありません。


今回の裁決事例は、自動販売機収入の計上時期が問題となっています。


(1)18年2月16日に土地と建築予定の建物の売買契約を締結。

(2)18年5月22日に次の2つの届出書を提出。
   「消費税課税事業者選択届出書」
   課税期間を1ヶ月に短縮する旨の「消費税課税期間特例選択届出書」
   
   課税期間は18年6月1日から6月30日

(3)18年6月23日C社との間で、「自動販売機設置協定書」を交わす。

(4)18年6月29日、アパートの引渡しを受け、同日までに代金を支払った。

(5)18年6月29日、自動販売機を設置

(6)18年8月初旬、C社より次の内容の「振込案内書」を受領

    7月20日締め、翌月10日振込み。
    販売手数料は1,845円
    6月30日までの販売本数 4本(480円)
    7月13日までの販売本数 57本(6,900円)

(7)18年6月1日から6月30日を課税期間とする次のような消費税申告書を提出
  
   課税売上高  4本の売上げの手数料 114円
          ただし、千円未満切捨てなので 0円

   仕入税額控除  建物に係る消費税  ×××円

   還付税額   ×××円

国税不服審判所の判断は、自販機の売上げは毎月20日締めで、
7月20日に収入すべき権利が確定するので、6月は課税売上げ無し。
したがって課税売上げ割合は零パーセント。
6月1日から30日に計上できる課税仕入等の税額は零円、
つまり還付は出来ないので、更正処分した税務署は違法性なし。


もう少し早めに、工事中から自販機を置いておけばよかったのでしょうか。


消費税法は期日を慎重に検討しないと、ダメージが大きいですね。