寡婦控除、寡婦控除の特例

年末調整の処理をしていて、今年もまた不明点が一杯です。

新しく入社した女性の方の「給与所得者の扶養控除等申告書」
を見ると、配偶者なし、扶養家族なし。


扶養家族となる子供がいなくても、死別で、所得が500万円以下で
あれば寡婦控除が受けられます。


ずっと独身か、離婚か、死別か?


とてもプライベイトなことで、聞きづらいのですが、やはり
本人に確認しなくては。



ところで、寡婦控除、特別の寡婦控除については、「年末調整のしかた」
では、まとめて解りやすく説明されていますが、条文はちょっと複雑です。



所得税法第2条第1項第30号

寡婦 次に掲げる者をいう
イ 夫と死別し、若しくはと夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の
  生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、扶養親族その他その者と
  生計を一にする親族で政令で定めるものを有するもの
ロ イに掲げる者のほか、夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の
  明らかでない者で政令に定めるもののうち、合計所得金額が500万円以下
  であるもの

まず、寡婦の定義が述べられています。
ロの場合は、死別の後、再婚して離婚した場合はダメのようですね。


所得税法施行令第11条第2項

  法第2条第1項第30号イに規定するその者と生計を一にする親族で政令
  で定めるものとは、その者と生計を一にする子でその年分の総所得金額
  退職所得金額及び山林所得金額の合計額が基礎控除の額に相当する金額
  以下のものとする。

離婚の場合には、所得が基礎控除つまり38万以下の子を扶養している
ことが必要です。ただし、本人の所得制限はありません。

死別の場合には、500万円以下という所得制限があります。


所得税法第81条

 第1項 居住者が寡婦又は寡夫である場合には、その者のその年分の
     総所得金額 退職所得金額又は山林所得金額から27万円を控除する
 第2項 前項の規定による控除は寡婦寡夫)控除という


租税特別措置法第41条の17(寡婦控除の特例)

 居住者が所得税法第2条第1項第30号 イ に掲げる者(扶養親族である
 子を有するものに限る。)に該当し、かつ合計所得金額が500万円以下で
 ある場合には、同法第81条第2項に規定する寡婦控除の額は、同上第1項
 の規定にかかわらず、同項に規定する金額に8万円を加算した額とする。


一般の寡婦控除は27万円で、寡婦控除の特例として8万円プラスという規定が
所得税法ではなく、租税特別措置法で定められています。


税法って、ほんとうに謎解きのように複雑ですね。