自己破産と税金

先週の勉強会の時に、「自己破産しても税金は免除されない」ことの
根拠条文が話題になりました。

おばさん税理士の宿題となったので色々調べてみました。


まず、自己破産で免責されないものについて、
破産法第253条1項3号に「租税等の請求権」が挙げられています。


「租税等の請求権」とは、同じ破産法第97条4号に「国税徴収法又は
国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」と規定されています。

つまり、国税地方税国保国民年金等は免責されない、つまり払わなければ
ならないとあります。


ただし、税法を調べてみると、国税徴収法第153条に「滞納処分の停止」
というのがあります。

税務署長が判断して、滞納処分の執行を停止できる制度です。
これは税金が免除されるのではなく、督促を停止する手続きです。
そして3年経過すると納税義務が消滅するので、結果的に税金を
払わなくてよくなります。

この処分は税務署長が行うので、破産した納税者は税務署に「滞納処分の停止」
の相談に行くしか方法はありません。


地方税法にも同じように第15条の7に「滞納処分の停止の要件」が
規定されていて、やはり3年たつと納税義務が消滅します。
これも、地方団体の長、つまり市町村長や県知事等が判断、決定します。



いづれにしても、自己破産するときは、弁護士さんや司法書士さん、
法テラス等でよく相談したほうがいいですね。


国税徴収法
(滞納処分の停止の要件等)
第百五十三条  
 税務署長は、滞納者につき次の各号の一に該当する事実があると
認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
一  滞納処分を執行することができる財産がないとき。
二  滞納処分を執行することによつてその生活を著しく窮迫させる
   おそれがあるとき。
三  その所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに
   不明であるとき。
2  税務署長は、前項の規定により滞納処分の執行を停止したときは、
  その旨を滞納者に通知しなければならない。
3  税務署長は、第一項第二号の規定により滞納処分の執行を停止した場合に
  おいて、その停止に係る国税について差し押えた財産があるときは、
  その差押を解除しなければならない。
4  第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、
  その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5  省略