再びインフォームド・コンセント

税務相談で数年前の相続税の申告後の不満を聞きました。


相続開始から10ヶ月以内に遺産分割協議が整わなかった
ので、とりあえず未分割で相続税の期限内申告をしたそうです。

当然、配偶者の軽減は適用出来なかったので、法定相続分で相続した
ものとしてとりあえず相続税を納付したはずです。

数ヵ月後に、遺産分割協議が整い、更正の請求をして、相続税
すべて還付になったそうです。


ここまで聞けば何の問題もないような気がするのですが。


相談者の不満は、税理士から何の説明もなく、とりあえず押印させられ
相続税を納付させられたことと、申告書の内容がおかしいと言うことでした。

申告書は、提出後控えをもらってゆっくり見てみたら納得いかない
ところが何箇所かあって、相談に見えたということです。


未分割で申告書を提出する時は、法定相続分で相続したものと仮定して
申告書を作成するので、退職金や生命保険等のみなし相続財産も相続人が
法定相続分で相続したように表現されています。

ところが、更正の請求では、これらみなし相続財産は、本来の受取人が
100%相続するので、他の相続人は取得者の所には記載されません。

そのことが納得いかないようです。最初の申告書では相続できると思ったのに
次の申告書(更正の請求書のこと)では相続できていないのは何故か。


この相談を受けて、内容を説明しましたが相談者は不満足のまま帰りました。


確かに、普通の人であれば相続税の申告は一生にそう何度もあることでは
ありません。


税理士にしてみれば当然のことでも、相続人にとっては分からない事ばかりです。



申告書の内容を丁寧に説明して、納得して押印していただくことの必要性を
痛感した相談事例でした。