用途が異なる建物の耐用年数

個人のお客様が中古ビルを購入しました。
1階が貸店舗、2階が貸事務所、3階から6階が賃貸マンション。


コンピューターの減価償却システムに登録するまでが大変でした。

(1)土地と建物の一括購入で契約書では消費税の記載はされていなかったので
   それぞれの固定資産税評価額で按分して土地と建物の価額を計算しました。


(2)固定資産の取得価額に算入すべきものと、必要経費にすべきものの
   区別が事業所得と不動産所得では異なるので注意が必要でした。

   8月11日のブログにも書いています。

(3)2以上の用途に供されている資産の耐用年数については、「耐用年数の
   適用等に関する取扱通達 1−1−1」に規定があります。

   「同一の減価償却資産について、その用途により異なる耐用年数が
    定められている場合において、減価償却資産が2以上の用途に
    共通して使用されているときは、その減価償却資産の用途については、
    その使用目的、使用の情況等により勘案して合理的に判断する
    ものとする。以下省略」

    かなりあいまいな通達ですよね。

    新築ビルの場合、店舗の耐用年数は39年
       〃    事務所の耐用年数は50年
       〃    住宅の耐用年数は47年


    どの耐用年数を適用したらいいのか迷います。使用目的、使用の情況等
    により、合理的に判断するということで、一般的な面積按分でいくと
    住宅用の47年が一番無難なところでしょうか。


    また、中古の場合は耐用年数を見積もらなければなりませんが、
    減価償却資産の耐用年数省令第3条に見積法と簡便法があるので
    それを利用します。


    ここでもう一つ恐ろしい通達がありました。
    耐用年数通達1−5−1

    「中古資産について見積法又は簡便法はその事業の用に供した事業年度
     においてすることが出来るのであるから、その事業年度においてその算定を
     しなかったときは、その後の事業年度においてはその算定をすることが
     できないことに留意する。」
      

     最初の年に誤って、見積法や簡便法を採用しないで、新築の耐用年数を
     適用したら、途中で耐用年数を短く出来ないので注意が必要です。


建物の減価償却システムの登録にこんなに時間をとられるとは思いませんでした。
まだまだ勉強不足を痛感しました。