工事進行基準

企業会計基準委員会が「工事契約に関する会計基準(案)」
を公表しています。
      ↓
http://www.asb.or.jp/html/documents/exposure_draft/kouji-keiyaku/kouji-keiyaku.pdf


現行の企業会計原則では、工事の収益の認識方法は2つあります。
要するに、いつ売上げに計上するか。


(1)工事完成基準
   工事が完成し、その引渡しが完了した日に工事収益を
   認識する方法。

(2)工事進行基準
   決算期末に工事進行程度を見積り、適正な工事収益率に
   よって合理的な収益を見積もって工事収益を認識する方法。


国際的には工事進行基準が一般的なので、日本の会計基準
その方向に持っていきたいようです。



ところで、法人税法でも工事進行基準について規定があります。

法人税法第64条
(工事の請負に係る有益及び費用の帰属事業年度)

第1項では長期大規模工事について規定されています。
   1. 工事の期間が2年以上
   2. 請負金額が50億円以上
   3. 代金の2分の1以上の支払いが引き渡しの日から
     1年後以降でないもの。

   これらの要件に該当する工事は、工事進行基準
   強制適用です。


第2項では、着工事業年度に引渡しが行われないもの(損失が
生ずると見込まれるものを除く)は工事進行基準を選択することが
可能です。


一般には、工事完成基準の方が完成するまで税負担がないので
有利ですが、経営事項審査を受ける場合、工事高が多い方が
点数がいいので、工事進行基準を適用する場合があります。


ただし、工事進行基準を適用しようとする時は、請負金額
見積工事原価、決算時点の実際工事原価をきちんと計算しなくては
ならないので、KDD(カンと度胸とどんぶり勘定)の会社では
ちょっと無理だと思います。